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2004.11.30

たそがれsong

 唐突だが新婚旅行の話をすることにする。もう3年以上前の話だが。で、行き先はインド洋に浮かぶサンゴ礁のリゾート、モルジブである。モルジブといえば泊まるところは水上コテージと相場が決まっている。なのでオレ達も例にもれず水上コテージに宿泊したわけである。

cotage.jpg

 コテージはだだっ広いべッドルームと、だだっ広いバスルームと、だだっ広いべランダから構成されている。ベランダとバスルームには海へ下りる階段がついていて、部屋から直接海に下りられるようになっている。

 オレ達はそこで、起きてメシ食って泳いで昼寝して起きてメシ食って泳いで日光沿して夜メシ食って寝る、とかいう生活を5日間ほど続けた。基本的に昼間は泳いで過ごしたが、泳ぎ疲れたときはべランダにある長いすに寝そべって本を読んだり、そのまま昼寝したりした。もう楽チンすぎて廃人寸前である。もう社会復帰できないんじゃないかと真剣に思ったりした。

 ある日、泳いでシャワーを浴びたあとベランダに出てみると、タ陽で海が真っ赤に染まって、向ともいえない美しい光景が広がっていた。新婚ほやほや湯気あっちっちのオレ達2人は、そのロマンチック極まりない光景にしばし見とれていた。

 そのとき、である。一筋の風がオレ達2人の横を通り抜けた。

 バタン!

 と、べッドルームからベランダへ抜けるドアが風で閉められた。

「ちょっと。あれってオートロックじゃないの?」

「いやあ、表のドアはともかく、このドアはオートロックじゃないだろ」

 オレは不明げに見つめるうっしーに、大丈夫だよ、と言うようにウインクしながらドアノブを引いた。

 …開かない。

「あ、じゃああっちのバスルームのドアから入ればいいんじゃない?」

「ダメだよ。あすこはさっきうっしーが『着がえするから閉めろって』いうから力ギ閉めてそれっきりだよ」

 べランダには電話もないのでフロントに電話することもできない。水上コテージなので周りは海で、ホテルのフロントがある陸までは500mくらいある。陽はかなり傾いていて、夜までまっしぐらといった感じである。

 もうたそがれ、神様どーにかしてくれ。

「どーすんのよ。アンタのせいで閉じこめられちゃったじゃないか」

 いや全然オレ何もしてないし!風のせいだし!そもそもバスルームのカギ閉めたのはうっしーの指令だし!

「…泳いでよ」

「へ!?」

泳いでフロントまで行ってカギ開けてもらって来てよ!

「い、いやオレ泳ぎ苦手だし、もう陽がおちて海水も冷たいし」

「早く!今行かないと水温どんどん下がるし、潮だって満ちてきちやうんだからね!」

「そんなこと言っても、オレ、パンツ姿だし…」

「大丈夫だって!もう暗いし、パンツと海パンの区別なんかつかないって

「いや、でも…」

「いいから早く行ってきて!」

 ザブーン。オレは岸まで必死で泳ぎ、岸からホテルのフロントまで歩いていった。幸いフロントには日本人スタッフが座っていた。

「あのーすいません…。コテージのベランダにいたら、風でドアが閉まって閉め出されちゃったんですけど…」

「そうですか…じゃあ鍵を開けさせに行きます…。って、あれ?ここまでどうやって来たんですか?」

「どうやってって…えーと、泳いで

「えええっ!?あそこから泳いできたんですか?」

 そのスタッフの人は、オレがコテージから泳いできたと聞いてややビックリしていた。てゆうかオレも泳いでなど来たくはなかったのだが、妻の怒り、もとい、妻への愛とパンツ姿で泳いでフロントまで行く恥とを天秤にかけたらこうなったわけである。

 それにしても、である。オレはつくづく思うのだ。

 ブリーフじゃなくてよかった、と。

雑文

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