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2004.12.04

一人ぼっちの冬

 博士は一人ぼっちではなく必ず助手が一緒だ、とあなたは思ってないだろうか。博士には子分というか教え子というか相棒というか、そんな役割を果たす助手がいるもんだと。しかし、それは大いなる間違いである。現実社会には、助手のような相棒などなくクリスマスや年末が差し迫ったこんな冬の日も一人寂しく研究を続ける博士がたくさんいるのである。

 だが、多くの人は博士と助手をセットで考えているのではないだろうか。試しにインターネットの検索サイトで「博士と助手」と検索してみると、博士と助手が〇〇を解説する、といった類のサイトが数多くヒットする。これは多分、聞く方(助手)と答える方(博士)という役割分担をすることにより文章がわかりやすくなるからであろう。「博士と博士」だと素人にはわからない高度な議論が展開されてしまうおそれがあるし、「助手と助手」では質問ばかりで答えてくれる人がおらず読み手にフラストレーションがたまってしまう。やはり、ボケとツッコミという組み合わせがバランス的に優れている。すなわち、この「博士と助手」という組み合わせは、「翼君と岬君」「キン肉マンとテリーマン」と1、2を争うような、もはや最強とも言える組み合わせである。

 しかし、通常用いられる「博士と助手の会話」というシチュエーションは、その利便性とうらはらに多くの矛盾を含んでいる。そもそも「博士」と「助手」を並べて表記することからして間違っている。「博士」とは学位、平たく言えば称号である。すなわちこれは「勇者ロト」の「勇者」と同じレベルのものである。ときどき、小学生への「なりたい職業」アンケートで博士が1位になったとかいうニュースを聞くが、あれは間違いである。はっきりと言っておくが、博士は職業ではない。「なりたい職業」を聞かれて「博士」と答えるのは「ぼくわゆうしゃのしょくぎょうになりたいです」と答えるのと同じことなのだ。これじゃあ小学生レベルの答えである。ってああ答えてるのは小学生か。

 博士の称号を得た者も、生計を立てるためには就職しなければならない。博士号所有者が就く職業としてもっとも至極当然のなものは、「研究者」である。ただ研究者といってもいろいろあって、例えば研究所では「部長」「主管研究員」「主任研究員」「ヒラ」「窓際」、大学では「教授」「助教授」「助手」という序列があるわけである。おっと、ここでようやく「助手」が出てきた。そう、助手は職業なのである。したがって、称号である「博士」と職業である「助手」を並列の概念であるかのように並べて書くのはおかしい。「○○と△△」のように並べて書いてよいのは両者が並列の概念の場合である。「部長とヒラ」「教授と助手」「先生と生徒」「家庭教師と教え子」「義姉と義弟」。なんだかシチュエーションが妖しげになってきた。あっ。い、いけないよ義姉さん、こんなこと…!うーん。義姉さんと書いてねえさんと読む。ちょっとエロチック。

 いかんいかん。あんまりそんなこというもんじゃない。このサイトは愛する妻を始め、会社の人から学生時代の友人から一族郎党に至るまで多くの知り合いが読んでいるのだった。うかつなことは書けない。気をつけよう。

 それからもうひとつ。いわゆる「博士と助手」の会話ではよく助手が博士のことを、「博士」と呼ぶが、これは絶対おかしい。博士号所有者に対して、「博士」を二人称として使用する人など、オレはほとんど見たことがない。ついでにいうと、TVドラマなんかでよく学生が教授のことを「教授!」とか呼ぶ場面があるが、あれもおかしい。教授である人に対する二人称は、普通は「先生」である。博士号所有者の二人称も、通常は「さん」である。ショッカーの死神博士も怪人や戦闘員からは「死神さん」と呼ばれていたに違いないのだ。間違いない((C)長井秀和)。←最近パクリとかうるさいので一応著作権表記。

 とまあいろいろ書いてきたのだが、何を隠そうお尻を隠そうこのオレも「博士」の学位を持っているのだ。で、3年ほど前までは研究所の研究員などをやっていたが当然助手なんかいなかった。っていうかむしろオレが一番下っ端だったし。こんな冬の日も一人でシコシコ実験してたものだ。もちろん「博士」って呼んでくれる人もいなかった。あ、いや2人くらいは「博士」って呼んでくれた人がいるかな。でもあれも「博士」というよりはむしろ「ハカセ~」というニュアンスに近かったな。ほら、アラレちゃんがセンベエさんを呼ぶときみたいな。なんかまあ、尊敬の念はほとんどというかまったく全然入ってないのだが、いいんだよ。そんなもんだと思ってるし、それで別段さびしくないから。

一人ぼっちの雑文祭 参加

雑文

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