【雑文】秘書カフェ
だいぶ前からメイドカフェというのがあるが、最近は執事カフェというものまであるらしい。
そこで、次に「くる」のは何か?オレなりに考えてみた。
その名も「秘書カフェ」。
店のドアを開けると、そこにはピシッとしたタイトスカートのスーツを身につけ、眼鏡をかけた美人秘書が立っている。
「お戻りですか、社長」
彼女はそう言いながら、オレを「社長室」と書かれた部屋の中へと案内する。
部屋の中にはデカい机に、肘掛けのついたリクライニングの効く椅子、応接セット、ゴルフの練習道具が置かれている。オレは、「社長の椅子」にどっかりと腰を下ろす。
秘書は手にしていた手帳をパラパラとめくりながら言う。
「次は13時から取締役会です。取締役会まで1時間ほどお時間がありますが、どうされますか?」そう言うと彼女は、机の上に書類を置く。書類にはメニューが書かれている。
「カプチーノを頼む」
「かしこまりました」
秘書は部屋を出ていき、しばらく経つとカプチーノを持って戻ってくる。
「ご用がありましたら、内線512までお電話下さい」
秘書はそう言って部屋から出ていく。
オレは背もたれを思い切り倒ながらカプチーノをすすり、机の上に置かれている書類、つまりメニューに目を通す。1ページ目にはドリンクや食べ物のメニューが書かれているが、ページをめくると「特別サービス」のメニューが書かれている。
「ゴルフの練習」、「山田部長」、「採用面接」、「粉飾決算」などなど。
よし、今日は「山田部長」にしよう。オレは書類を閉じ、机の上の電話を手に取り512をダイヤルする。
「社長、何かご用ですか?」
「ああ」
オレは電話の向こうの秘書に告げる。
「『山田部長』を頼む」
「かしこまりました」
秘書はそう言って電話を切る。
しばらくすると、コンコン、とノックの音が。
「入りたまえ」
オレがそう言うと、「失礼します」とパッとしない中年男性が入ってくる。「お呼びですか社長」
「キミねえ、こないだのプロジェクト、ありゃいったいどうなってんの?」
オレは中年男性を叱責する。
「はあ」
「責任をどうやってとるのかと聞いているんだ」
「はあ」
「もういい、下がりたまえ!」
「はあ」
そう言われると、何を言われても「はあ」としか答えない山田部長は部屋を出て行く。
ふう。ちょっと長居しすぎたかもしれない。オレはふたたび受話器を手に取り、内線512をダイヤルする。
「社長、何かご用ですか?」
「ああ」
オレは電話の向こうの秘書に告げる。
「今日はもう帰る。取締役会はキャンセルだ」
ノックに続いて、秘書が入室する。
「社長、お車を回してあります」
秘書はオレを出口まで案内する。帰り際、秘書は右手でメガネのずれを直しながら言う。
「社長、明朝は、6時からNY支社長とテレビ会議ですのでお忘れなく」
萌え~…なのか?これ?
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